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【ライヴレポート】プレミアムワンマンライヴ@鎌倉「GARDEN HOUSE」

GARDEN HOUSE
10月と言えば本来なら気持ちのいい季節なのだが、あいにくこの日は首都圏に台風が接近するという荒天に見舞われた。
そんな中、第4回となる「プレミアムワンマンライヴ」が、鎌倉のショップ&レストラン「GARDEN HOUSE」で決行された。
午後から夜にかけて雨が強まり、東京からわざわざ来られるお客さま方の足元を楽屋でひたすら心配していた中塚武。しかし、彼の心配をよそに、会場はすでに開演を待ちながら食事を楽しむ多くのオーディエンスで満員となっていた。

予定通りの開演時間。ギターの石垣健太郎とサックス&フルートの石川周之介に続いて中塚が登場。
趣がある古いアトリエをリノベーションして作られたウッディな空間。緑に囲まれたガーデンを背に3人が並ぶ。
広い窓の外には暗闇が広がり、テーブルに灯されたキャンドルの灯りが温かな空気をつくり出していた。

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1stステージ。挨拶代わりのオープニングナンバー「冷たい情熱」を歌い終えたあと、中塚は感極まった表情で切り出した。
「こんな天気のなか足を運んでいただいて本当に感謝感激です。全身全霊を振り絞って、かならず素敵な夜にしようと思います!」
間髪入れず、会場からは大きな拍手が湧き起こった。

MCのあと「涙に濡れた夢のかけら」から「虹をみたかい」をメドレーで披露。4ビートの軽やかなリズムと心地いい歌声がリラックスムードを作っていく。

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続く曲は、現在「TAKESHI LAB」で無料配信中の「あの日、あのとき」。
中塚は、歌詞にふれて、クラブDJ全盛の時代に、周囲の反対を押し切ってフィーチャリングをやめ、自分自身で歌い始めたのが転機になったこと。その当時から支えて続けてくれたメンバーやファンへの感謝を込めて書いた曲だと紹介した。
やわらかに響く音と歌声に包まれながら、1人1人がじっと耳を傾けている様子が印象的だった。

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「プレミアムワンマンライヴ」では、毎回、ライヴのためだけに収録された「おみやCD」が来場者全員にプレゼントされる。今回セレクトされたのは、鎌倉にちなんで、中塚が愛して止まないサザンオールスターズの「鎌倉物語」。原由子が歌うバージョンとはひと味もふた味も違った、中塚流のダイナミックなアレンジで耳馴染みのある曲を楽しませてくれた。

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2ndステージでは、「プレミアムワンマンライヴ」恒例となった「リクエストコーナー」に突入。リクエスト曲を引き当てる際には、石川がサックスで、ドラムロールならぬサックスロール(?)で、盛り上げつつ笑いをとる。最初に引き当てたのは、中塚が声優・花澤香菜のために書き下ろした「初恋ノオト」という意外な曲。切ない恋心をしっとりと歌い上げた。

さらに、石垣が引き当てたのが徳永英明のデビュー曲「レイニーブルー」で、会場からは驚きが混じった笑いが起こる。ここでもただのカバーで終わらないのが中塚流。80年代の哀愁のバラードをマイナーラテン調にアレンジし、クールに歌い上げた。

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まるで闇鍋のように何が飛び出すか分からないリクエストコーナー。中でも圧巻だったのが、スティングの「Englishman In New York」。ジャズシンガーにとってのスタンダード曲を、なんと大胆なダブ・アレンジで仕上げてきたのだ。
その場で2台のループエフェクターを使い、カスタネットやサックスの音色、ボイスパーカッションを次々と重ねていき、ディレイを効かせて一気にダブ・ワールドへと誘った。

本編ラストの「すばらしき世界」直後から鳴り止まない拍手と共に、アンコールではリクエスト曲からピックアップされた「Your Voice」を初の中塚ヴォーカルバージョンで歌いあげ、大きな多幸感に包まれたエンディングを迎えた。

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1stステージだけでもまるまる1回分のライヴに相当する曲数を披露したうえに、2ndステージのリクエスト曲もいつも以上の曲数を演奏した今回のプレミアムワンマンライヴ。
多忙な3人がこれだけ完成度の高いライヴを魅せてくれることは、中塚ファンならずとも音楽ファンにはたまらない幸せだ。
外の嵐のせいか、いつも以上にアーティストとファンとの親密さを感じられる、これ以上ない特別な時間だった。

今年最後のプレミアムワンマンライヴとなる次回は白金でのクリスマススペシャル。この日も贅沢な夜になるに違いない。

(text:川崎圭子)

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