Column

イッセー尾形



僕は1980年代や80′s風の日本があんまり好きじゃないんです、と言うかキライなんです、いや、大キライなんです。僕がイメージする80′sって、インテリ風の奴があえて狂ったことをしてみたり、何かにつけてデザインが過剰だったり、刹那的というか度が過ぎた快楽主義というか。まあとにかくいけ好かないのですね。
その80年代嫌いはいつ頃からかと言えば、もうすでに80年代の時にリアルタイムに嫌いだったんです。ちょうど小学生〜高校生までの多感な時期がまるまる80年代だったのですが、もう世間のあらゆる流行が気に入らなかったですね。ニューウェイヴ/ニューロマンティック、ひょうきん族、ガンダム、とんねるず、西部警察、藤田ジャイアンツ、新日本プロレス、中曽根首相、、、日本にとっては絶好調の頃だったのでしょうが、僕的には全部ダメでした。好きだったのはファミコンとコロコロコミックくらいでしょうか。だから僕はファミコンとコロコロコミックだけで多感な10年を過ごしてたんですね。だからこんな変な大人に育っちゃったんだな。
イッセー尾形を最初にTVで観たのは月曜ドラマランドでの「いじわるばあさん」の警官役だったのですが、その後ちょこちょこTVに出ているのを見かけたりして、もう僕の中では絵に描いたような80年代男という印象があったんですよ。生理的に無理、って感じで。でもそれから数年後、中学生の時に深夜番組で偶然観た彼の一人芝居で彼への評価が180度変わりました。もう素晴らしいの一言。それで調べてみたら、もともと一人芝居が本業と知って、中学生ながら自分の不明を恥じたものでした。
何処にでもいそうなごく普通の人物を、これでもかってくらいに細かく描写していて、無理に笑いを取ろうともせず、落げも特になく、淡々とその人物になり切っている舞台。幕間では次のキャラクターへの衣装に舞台脇で着替え、その間の場内にはPaul Bleyのソロピアノが静かに流れたりして。このピンと張りつめた空気が本当に素晴らしい。なかなかチケットが取れない彼の舞台ですが、DVDも出ているのでぜひ観て欲しいです。
ちなみに僕が好きなのは、たくさんあるけど「中華屋」「ゴースケ」「昼下がりの大工」「今日から電器屋さん」「パリにて」などなど。部屋でピアノ弾きながら毎日観てます。

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