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【ライブレポート】プレミアムワンマンライブ@中目黒「Taste AND Sense」

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笑いあり、涙ありと、聴く者の心を和ませてきてくれたプレミアムワンマンツアーも、いよいよ今回でひと区切り。そんな締めくくりに相応しいバレンタイン・イヴの夜に、7回目となるワンマンツアーが中目黒で開催された。

会場は、目黒川からほど近くにあるカフェ・レストラン『Taste AND Sense』。

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ウッドテイストで統一された居心地のよい店内のテーブルには、小さなキャンドルが。ほんのりと揺れる灯りに、これから始まるライヴへの期待がいっそう高まる。
スタートまで、熱々のフィッシュ&チップスにビール、自家製サングリアや特製パスタなどで腹ごしらえ。おしゃべりも食事も弾むなか、あっという間に開演時間となった。

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待ちかねていた観客の前に、にこやかに登場する石垣健太郎(ギター)、石川周之介(サックス&フルート)、そして中塚の3人。

「バレンタイン・イヴにちなんで、特別なライヴを」と切り出す中塚。なんと大胆にも、恒例のリクエストコーナー拡大版として、全曲リクエスト&クジ引きでの演奏を宣言。冒頭から観客は拍手で大喜びだ。

「最初の曲も最後の曲も、全く予想がつかないんだよね。大丈夫?」そんな中塚自身の突っ込みまでも大きな笑いを誘う最高の始まりとなった。

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一曲目に引き当てたのは、知る人ぞ知る70年代のジャズボッサ・ユニット、NOVOの「白い森」。
中塚武withイガバンBBによるカバーアルバム『Big Band Back Beat』に収録のバージョンで演奏。パッと会場が温まる、そんなハッピーな雰囲気に溢れたオープニングソングで、今宵も快調にスタート。

2曲目に引いたのは前曲からガラリと変わって、なんとSEKAI NO OWARI「PRG」。
「ライヴ全体の構成をまったく無視した奇跡の曲順だね」とおどけつつも、中塚の真骨頂である、強気で攻めのアレンジを加えながら、終始メロディアスに歌い上げるその声で観客を完全に魅了する。

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3曲目は、石垣がFrankie Valliの名曲を引き当てる。アルバム『Solo』に収められた名曲「Can’t Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)」。
アップテンポな導入から力強いグルーヴのブーガルーアレンジに。観客も即座に手拍子で応える盛り上がりを見せて、会場のテンションが急上昇する。

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「曲目も曲順も決まってないライヴって珍しいよね」と言う中塚の問いかけに苦笑するバンドメンバー。
ワクワクの表情を交えた軽妙なトークも観客には“プレミアム”な時間。笑いの絶えないライヴはこうして絶好調で進む。

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1stステージ後半には真冬にもかかわらず夏の曲が続く。くじ引きならではの意外性のある選曲がかえってまた楽しい。

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誰もが聴き惚れる切れ味抜群の中塚ボイスで山下達郎「Ride On Time」をスモーキーに、サザンオールスターズ「真夏の果実」では斬新なマイナーキーでのアレンジを巧みに効かせ、それぞれ真冬に相応しい曲へと昇華。

マットな音質と息の合ったトリオの響き、そしてフィナーレへと向かうあたりは、さすがのひと言に尽きる。
大きな歓声と満面の笑顔のなかで、1stステージが終了した。

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後半は、オーディエンスや店舗スタッフにも全員参加してもらおうという中塚のアイデアで、なんとビンゴゲームが登場。

オーディエンスが引き当てた田島貴男&高野寛「Winter’s Tale 冬物語」で後半1曲目がスタート。スピード感のある演奏、見ればすでにカフェのスタッフまでもが大盛り上がり。

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「白い砂のテーマ」「On The Palette」「あの日、あのとき」とオリジナルナンバーが続き、本編最後に引き当てられたのは「キミの笑顔」。
思わずホロリとくる甘く切ないメロディと歌詞が観客の心に強く沁み、清々しい余韻を残してくれた。

沸き上がるめいっぱいの拍手と興奮が冷めやらぬまま、いよいよアンコールへと突入する。

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「石垣さんと周さんが1曲ずつ引いて、それをメドレーにしようか?」
中塚による突然の提案に驚愕するメンバー2人が引き当てたのは、アルバム『GIRS & BOYS』収録の「Brand New Story」「Cheese Cellar」の2曲。

切なくもピュアな「Brand New Story」では、中塚の優しいボーカルと清涼感のあるアコースティックギターとの絡みが冴え渡る。心に染みるメロディ、それが波紋のように広がり、珠玉の歌声が会場中を魅了していく。

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その後に間髪入れずスタートした「Cheese Cellar」では、音楽革命児・中塚ワールドが一気に加速。
ルーパーを駆使してその場でリズムとハーモニーを録音する演奏スタイル、そして抜群のグルーヴ感が一体となって、観客の興奮はノンストップのままクライマックスへ。
最後にはなんと「チョコレイトディスコ」「バレンタインキッス」のフレーズまでアドリヴで挿入しながら、強烈な熱気と高揚感に溢れたプレミアムワンマンツアーは終わりを迎えた。

3月20日は、ついに古巣JZ Bratでのワンマンライヴ。ホーンセクションも加わり、今まで以上の迫力と厚みのある演奏が繰り広げられるだけに、これも絶対に見逃せない。

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(text by 青野ゆう / photos by 菊池陽一郎&目良夏菜子)

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