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【ライヴレポート】プレミアムワンマンライヴ@下北沢「モナレコード」ライヴレポート


毎月1回、会場を変え、演奏スタイルを変えて行う中塚武のプレミアムワンマンライヴ。銀座、谷中に続く第3弾は、若者が行き交うサブカルチャーの発信地、下北沢で開催された。


中塚がモナレコードを会場に選んだのは理由があった。モナレコード店長の行(ゆき)氏は、中塚主宰のバンド「QYPTHONE」デビュー時から大々的なプロモーションを仕掛けてくれた人物でもある。中塚いわく「僕の音楽人生の恩人」。ソロデビュー11年目を迎え、原点回帰の意味も込めたプレミアムワンマンライヴをこの場所で開催できることは、中塚本人ばかりでなく、ライヴを楽しみに集まった観客にとっても貴重な体験となった。


今回は、前回メンバーの石垣健太郎(ギター)、石川周之介(サックス&フルート)に加えて、鈴木郁(ドラム)と寺尾陽介(ベース)が入った5人編成。息のあったド迫力のアンサンブルが会場に鳴り響いた。

オープニング曲「Johnny Murphy」を幕開けに、ルーパーを使ってハーモニーを構築してゆく「On and On」、ライヴでは初披露となった「Stars In Your Eyes」と、心地いいミディアムテンポのナンバーを軽やかに歌い上げていく。お酒を飲みつつリズムに身体を任せながらリラックスした雰囲気で楽しめるのも、プレミアムワンマンライヴならではの醍醐味だ。


毎回ライヴごとに用意され、観客に持ち帰ってもらう「おみやCD」に収録された「Countdown to the End of Time」から間髪を入れずに「It’s Your World」へと流れる疾走感あふれるメドレーに、会場も一気にヒートアップ。熱気に包まれたなかで前半戦を終えた。

「おみやCD」は、今回の5人のメンバーによって新たに録音された希少な1枚。「すごくいいものに仕上がったので配信しようかという話もあったんですけど、やっぱり今日この場に来てくれた人だけのプレゼントとして配信はしません。世界に50枚しかない曲です(中塚)」。
これまでの概念を覆すような中塚の音楽に対するアプローチとサービス精神には、いつもワクワクさせられる。


休憩をはさんで後半戦は、前回のライヴで大好評だった「リクエストコーナー」を展開。あらかじめ募ったリクエスト曲をその場でクジ引きして演奏するという、文字通り「プレミアム感」満点の企画。
「気軽な気持ちで思いついたんですけど、めちゃくちゃ大変だと分かりました。みんなハードルの高い曲をリクエストしてくるし、せっかく練習したのにクジが当たらずに演奏しない曲もある(笑)」と、中塚本人はもちろん、演奏するメンバーも、そして観客もドキドキのチャレンジングな企画だ。


リクエストボックスから引き当てた1枚目に書かれていた曲は、鈴木雅之の「ガラス越しに消えた夏」。10年前に鈴木雅之のトリビュート・アルバムでクレモンティーヌと共演したという久々の1曲を、さらりと歌い上げた。

リクエスト2曲目は石垣がクジ引きを担当、ピックアップしたのはRaul Maloの「I Said I Love You」。アルバム『Kiss & Ride』でカバーしている曲ではあるが、「この曲はあまり選んで欲しくなかった(笑)」といわしめる難しいナンバーでもある。そう言いながらもハイテンションで陽気なラテンスカをきっちり演奏し、会場を盛り上げる辺りは流石だ。


アンコールを含め、全11曲を熱演した今回のプレミアムワンマンライヴ。毎回、何が起こるか分からない刺激的な演出は、中塚のライヴを初めて見る人はもちろん、何度も足を運んでいる人にとっても新鮮な魅力あふれるライヴであることは間違いない。

次回10月はいよいよ東京を飛び出して、鎌倉に会場を移して行われる。秋の鎌倉をぶらりとした後のカフェでまた刺激的なライヴを堪能できると思うと、今から楽しみで仕方がない。

(text:川崎圭子)


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