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【ライヴレポート】ワンマンライヴ ’15/10/16@渋谷 JZ Brat

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恒例となった渋谷セルリアンタワー2F『JZ Brat SOUND OF TOKYO』でのワンマンライヴ。その4回目が10月16日の金曜日、冷たい霧雨の降るなか開催された。

毎回ライヴを楽しみにするオーディエンスはもちろん、初ライヴの期待に胸膨らませ訪れる人も多い。金曜の夜もあってか、開演前から誰もがビールで喉を潤し、おしゃべりに興じリラックスした様子。テンポのいいBGMが流れる店内は、早くも賑やかな雰囲気へと包まれていく。

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何と言ってもオーディエンスのワクワク感を盛り上げてくれるのが1発目の演奏だ。
ややルーズに白シャツと黒タイを着こなす中塚を筆頭に、今回はホーンセクションの五十嵐誠(トロンボーン)、佐久間勲(トランペット)、副田整歩(サックス)も一緒にステージに立ってのスタートという、なんとも贅沢な演出に、客席からは大歓声が沸く。

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もちろんお馴染みのメンバーである鈴木郁(ドラムス)、寺尾陽介(ウッドベース)、石垣健太郎(ギター)、石川周之介(サックス)も続けて登場。
すかさず1stステージ冒頭から「Countdown to the End of Time」という超強力チューンでスタート。鳴り響くダイナミックなホーンの嵐に、会場の熱気は一気に上昇。今宵も絶好調な幕開けだ。

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前回のライヴから2ヶ月“弱”ゆえの、新曲づくりにまつわる苦労話を交え、中塚が挨拶。ちょっとした笑いを誘う絶妙なトークは、ギュッと観客との距離感を縮めてくれる。こうしたトークこそワンマライヴの魅力といえる。

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2曲目はアルバム『GIRLS & BOYS』に収録の「Calling Your Name」。軽快に弾むドラムに、オーディエンスは早くも身体を揺らし、発せられる興奮と熱気がみなぎるなか、『LYRICS』からの「涙に濡れた夢のかけら」とオリジナルナンバーが続く。
華やかに、かつドラマティックなサックスの響きが会場中を魅了し、ライヴの恍惚感をいっそう煽る。

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ひと呼吸入れつつここでMC。スタートから共にステージに立ったホーンセクションの3人の紹介も、もはや笑い無しには進行できないちょっとした名物だ。
中塚とメンバーの掛け合いトークのおかげで、彼らの素顔がちらりとのぞく。見れば満面の笑みが、方々の客席から沸き起こっている。

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『LYRICS』に収められている「月を見上げてた」は、学生時代、20代特有の夢と現実の狭間にいる悶々とした思いを凝縮して生み出した、青春時代の代名詞的な1曲。

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しっとりと聴かせたあとには、屈指の超絶技巧が炸裂する「〇の∞」、そしてオーディエンスの手拍子も加わり、「Make Her Mine」では全員が熱いリズムと音の洪水にどっぷりと浸り、1stステージのクライマックスを迎えた。

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前半とは思えぬ盛り上がりをみせ、その熱気溢れる余韻が漂う会場。メンバーが去った後も、抜群の選曲に誰もが脱帽するDJ高橋マサルの見事な選曲がブレイクタイムのひとときを彩る。
ふと周囲を見渡すと、赤とオレンジの2層が美しいカクテルを注文する女性たちの姿が目につく。どうやらそれは、今日のキーアイテムのよう。

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しばしの休憩をはさみ、2ndステージでは黒シャツに白タイと装いを一新したレギュラーメンバーの鈴木、寺尾、石垣、石川らが中塚とともに登場。

ドラムパッドとルーパーを巧みに操り、『TAKESHI LAB』で無料配信されたナンバー「律動(リズム)」からのスタート。クールに刻まれる痛快なリズムが、早くも聴衆を釘づけにしていく。

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ここで改めて4人のメンバー紹介。息の合ったメンバーとの絶妙なやり取りで、次々と面白ネタを無邪気に披露する中塚。ゆるいトークとアグレッシブな演奏とが適度に拮抗するメリハリのあるスタイルもまた、中塚ワールドらしさのひとつであり、ニクいほどの魅力になっている。

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ルーパーを駆使した「冷たい情熱』」、スリリングにそして華麗なサックスが冴える「Johnny Murphy」と演奏はさらに続く。
「On and On」ではドラムパッドのパンチの効いたリズムループに、オーディエンスのボルテージも加速を増すばかり。

この後、1stステージに登場したホーンセクションの3人が再登場。継ぎ目なく続く「The Sweetest Time」のウッドベースとホーンの熱くて濃い絡みには、誰もが心酔した。

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そしていよいよ、お待ちかね『新曲三題噺』コーナー!

今回選ばれたのは「生きる!」「荒涼」そして、なんと、まさかの「ぱんだ」。まったくかけ離れたこの3単語から誕生した、本邦初披露となる新曲のタイトルは「からまるゆるめる」。
いったいどう味つけされたのか演奏前から興味をそそる。

同時に、そのネーミングから作られたJZ Bratバーテンダー砂田崇氏によるスペシャルカクテルも紹介。まさに休憩時に見かけたあの美しい2層カクテルだ。
マスカットリキュールに、赤ワイン、ジンジャーエール、グレープフルーツジュースが織りなす爽やかでフレッシュな味は、飲んだ直後から口いっぱいに広がる。

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新曲には想像以上に切なる中塚の思いが託されていた。

競争の激しい現代社会、つい生き急いでしまう我々に、まるで一石を投じるかのようなメッセージを秘めた1曲。
観客は息をのみ、ひたすら聴き入っている。
珠玉のサウンドは、恒例のおみやCDとしても最後に配られた。今回のジャケットももちろん石垣画伯のイラストだ。

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オーディエンスの心の奥深くを震わせながらも、「トキノキセキ」では軽々とポップな世界へとシフトする、このダイナミックな急展開も最高に盛り上がれる瞬間だ。
「すばらしき世界」では力みなぎるツイストで会場を圧倒。
これ以上ないほどに鳴り響く手拍子のなかで2ndステージはクライマックスを迎えた。

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熱烈な拍手のなかで再び登場した中塚はさっぱりとしたTシャツ姿に。
終わりゆくステージに、中塚は名残惜しさを隠しきれないのか、オリジナルグッズのタオルやコンパクトミラーの紹介を楽しげにしてみせる。

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そこにデザインされた名曲「Your Voice」をラストに選んだ中塚。テンポよくスイングのリズムで歌い上げ、まさに説明不要の絶品サウンドが隅々まで浸透、場内を魅了していく。

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いい音楽ってホントにいい! 
会場がひとつに繋がった輝かしい時間は、鳴りやまぬ手拍子のなかで終わりを告げた。

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12月6日には、いよいよあの【オールリクエストライヴ】第2弾が、吉祥寺QUATTRO LABOにて開催決定。
オーディエンスからのリクエストを募り、なんと本番当日にクジで引きながら曲目を決めるという前代未聞のライヴ。
大反響の前回を受けて、今回もリクエスト曲をどう調理して楽しませてくれるのか。たまらなく待ち遠しい。

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text by 青野ゆう
photos by 菊池陽一郎、田中亜紀子

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