Column

収録曲解説⑰【北の国から】



ベスト盤収録曲の解説も、残すところあと2曲になりました。本ベスト盤で唯一のカバー曲です。
当初はメーカーとの打合せで「カバー曲は外そう」という話だったのですが、この曲は「カバー」という枠からはあまりにも逸脱しているので、特別に収録する運びとなりました。

僕の音楽的故郷とも言える渋谷オルガンバーには新旧の名物イベントが星の数ほどあるのですが、その中のひとつに「BLUE CAFE」という超老舗イベントがあります。

SMALL CIRCLE OF FRIENDSのアズマさん、三谷昌平さん、鈴木雅尭さんが中心となって、それはそれは最高の雰囲気と選曲を提供するイベントで、僕もQYPTHONEの頃から何かとご一緒させていただいていました。
実は『JOY』1曲目収録の「Café Bleu」はこのイベントのために書いた曲で、SCOFサツキさんも歌う日本語バージョンが存在していることは知る人ぞ知る事実です。

そのイベントの最中に「三谷さんが北海道に引っ越す」という話題が出て、僕とアズマさんがふたりで酔っ払いながら「南から北へ引っ越すから、北の国からをサンバにして『南の国から』にしよう!」などとふざけて騒いでいました。
その夜はいわゆる酔っ払いの戯言で済んでしまったのですが、しぶとい僕は虎視眈々と実現の機会を狙っていました。

それから2年ほど経った、とある日のレコーディングのこと。録音中のスタジオにスタッフが血相を変えて飛び込んで来ました。何かと思えば、なんと隣のスタジオでさだまさしさんが録音中とのこと!
「まさに神の配剤!」とばかりに、まったく面識の無いさださんのスタジオに突撃訪問して直接カヴァーの許諾を得ることができました。さださんはなんと心の広いお人なのでしょうか。
さらに、楽曲リリース後にはなんと、北海道日本ハムファイターズの応援ソングにも選ばれてしまいました。

夜中のクラブでの酔っぱらいDJ達の冗談が、あれよあれよという間に札幌ドームで日ハムファンに大合唱されるまでになるなんて、まさにドラマのような話です。

画像は石垣健太郎によるアナログ12インチのジャケット。
ブラジル感100%、富良野感ゼロ。
こんなしょーもないアイデアをまともに聞いて実現してくれるのは石垣さんだけだわ。

コメントする

*

頂いたコメントは、内容を確認してから公開しておりますので、掲載されるまで時間がかかる場合があります。またメールアドレスはサイト上に掲載されません。