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【ライブレポート】プレミアムワンマンライブ@東京タワー「TOWER’S DINER」

@東京タワー
2015年1月、新しい年を迎えて一発目のプレミアムワンマンツアー。
今回その会場になったのは、真冬の夜空を彩る大都会のシンボルであり日本のシンボル、東京タワー。

すでに6回目となるワンマンツアーだが、中塚自身「このライヴシリーズはすごく大切な時間、大切な夜であり、自分の音楽観にも変化を与えている」と語るほど。
それは会場を訪れる観客も同様だ。特別なひと時を楽しもうと、昨年末にオープンし早くも話題殺到の東京タワー2F『タワーズダイナー』を目指し、次々と訪れる人達。期待に胸を膨らませた多くの笑顔と談笑で、店内は早くも大賑わい。

@東京タワー@東京タワー
ライヴが始まるまでは、ダイナー名物のグリルドトーストとともにビールやワインで腹ごしらえ。程よく気持ちが和んできたところで、いつもお馴染のメンバー、石垣健太郎(ギター)、石川周之介(サックス)、そして中塚が登場。
歓声と拍手に包まれたダイナーは一転、ライヴハウスさながらの熱いムードに。

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一曲目はアルバム「LYRICS」に収められている「虹を見たかい」。オープニングを飾るのに相応しいスウィングの効いたサウンドが会場に響くと、待っていましたとばかりに、観客も大いに盛り上がる。

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「愛の光、孤独の影」「The Sweetest Time」に続き、2015年1月1日0時に合わせて無料配信された「苹果」を披露。
ほんのり可愛らしいメロディと、中塚の優しい歌声が程よくミックスされた甘酸っぱい楽曲だ。
こちらは無料配信とは違ったトリオアレンジ版の新録音が、ライヴ恒例の“おみやCD”となって観客にプレゼントされた。

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その後、名曲「Your voice」が始まると、アップテンポなリズムに誘われるように観客も手拍子で応え、互いの距離感がぐっと縮まる。まさにライヴならではの醍醐味ともいえる一体感が、会場中を満たしていく。
曲終わりからそのままテナーサックスのフレーズを効かせ「すばらしき世界」へ。ここでさらに観客のボルテージもぐんとアップ。1stステージは最高潮の盛り上がりを見せて終了した。

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熱い前半戦を終え、活気に満ちた店内。ブレイクタイムに観客の多くが冷たいビールで喉を潤し、いよいよ2ndステージがスタート。

小気味よさが“かっこいい”のひと言に尽きる「冷たい情熱」の演奏の後、お決まりのお楽しみリクエストボックスが登場。
と、その前に、今回注目の企画グッズ、ギターの石垣による愛らしいイラスト入りメモノートもしっかり紹介して、ひと呼吸入れる中塚。

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「リクエスト演奏は、まさに修業、練習。でもそのおかげで、僕らのレパートリーは増えていくのだから、有り難く演奏させてもらいます」と言ってまず中塚が引き当てたのは、NHK-Eテレの人気番組『サイエンス0』テーマ曲の「○の∞」。
「あのビッグバンドサウンドを3人で演奏するのはものすごく大変………でも、これは嬉しい悲鳴ですね(笑)」などとおどけつつも、あの超絶技巧の楽曲を、ピッタリと息の合った鳥肌モノのトリオヴァージョンで披露してくれた。

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続けて石垣が引いたのは、渋谷系を牽引してきた一曲、小沢健二「ぼくらが旅に出る理由」。
『ケイタマルヤマ2013‐2014秋冬コレクション』では、中塚がアレンジしたものを野宮真貴が歌い話題になった曲だ。
「偶然にも、歌詞に東京タワーが出てくるんですよね」と、少しアップテンポで演奏。観客から、喜びの歓声と大きな拍手が沸き起こったのは想像のとおり。

続けて、ライヴ初披露という「Dear Dad」では、まさにタイトルそのままに、深い思いの込められた歌詞をじっくりと歌い上げる。
「まさか友人のデビュー曲をここで歌うなんて」との中塚の言葉に会場が沸いた、土岐麻子の「ロマンチック」では、心地よい優しい歌声とギミックたっぷりの演奏で観客を魅了した。

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リクエストコーナーを終えて間髪入れずに本編最後の楽曲へ。期待の高まるラストを飾ったのは、フリッパーズ・ギターの「恋とマシンガン」。いよいよと言わんばかりに、会場はこの夜最高の盛り上がりに達し、観客はもとより、タワーズダイナーのスタッフまでもが、カウンターの向こうでリズムに合わせて手拍子をするほどの熱気に包まれ、大興奮のうちに本編が終了した。

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再び熱いアンコールの拍手で迎えられた3人。
「予定調和になってしまうのがイヤで、完全燃焼をしたいから、いつもアンコール曲は用意していないのです。なのでどうしてもコレに頼っちゃうんだよな~」と苦笑しながら中塚が手を伸ばしたのは、例のリクエストボックス。
引き当てた曲はシンディ・ローパーの「Time after Time」だ。石川の多重録音サックスに透明感のある中塚の歌声が乗り、なんとも幻想的な情景を作り出す。そうして金曜の夜に相応しい熱くメロウなライヴが幕を閉じた。

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2月のバレンタイン・イヴには、なんと全曲リクエスト曲オンリーというスペシャルライヴ。そして3月には、いよいよ古巣の渋谷JZ Bratでのワンマンライヴへと続く2015年。
いったいどんな演奏で、どんなサプライズで今年は私たちを楽しませてくれるのか、今から大いに待ち遠しい。

(text by 青野ゆう / photos by 菊池陽一郎&目良夏菜子)

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